安全にスキーをするための注意事項 


スキーは楽しいと同時に、危険と隣り合わせのスポーツでもあります。最近は、ゲレンデでも死亡事故を含む、重大な事故やケガが多発しています。また、高齢者のスポーツ参入はたいへん素晴らしいことですが、反面、事故の可能性も高まっているといっていいでしょう。
 全日本スキー連盟では、スキーの事故を少しでも減らすために、すべてのスキーヤーに安全で楽しく滑ってもらうために、次のような安全十則を掲げています。どんなことを訴えているのか、ちょっと解説してみましょう。


《 安 全 十 則 》


1.準備運動忘れずに

これは解説するまでもありませんね。どんなスポーツでも、始める前に準備運動をするのは鉄則。ゲレンデについてすぐリフトに乗ってしまうと、降りてすぐ滑り出してしまう人が多いのではありませんか? 体が冷えていて、筋肉が縮んだままの状態で運動をするとケガのもとです。リフトに乗る前に、あるいはリフトから降りたらすぐ、とくに下半身を中心にしっかりストレッチをしてから滑りはじめましょう。体がポカポカするぐらい充分に動かせば、完璧です。 


2.無理なスピード事故のもと

あなたがシューマッハと一緒にサーキットを走ったら? ついていけると思いますか? スキーも同じです。スピードは用具と技術、それに天候のバランスで決まります。シューマッハだって、ポンコツの軽自動車ではF1は戦えませんが、高級車に乗っていたって運転技術が伴わなければ走れません。スピードは自分の技術に合わせて調整してください。レッドフラッグが振られたら、すぐその場で止まれるスピードが自分のスピードです。暴走族は、自分が危険なばかりではなく、周囲の人たちも危険に巻き込みます。


3.自信過剰事故のもと

上級者オンリー? 大丈夫、私は上級者だもん! さて、上級者とはどのくらいの人をいうんでしょうね? 斜面が検定をしてくれるわけではありません。このぐらいの斜度ならちょろい、ちょろい。こんなコブなんか俺様の実力なら。本当にそうですか? 途中で止まれといわれたそこで止まれる斜面でなければ、あなたにはきつすぎるのかもしれませんよ。いいところを見せよとかっ飛んでいくと、谷底や林の中までかっとんで行くハメになるかも。何せスキーヤーは見栄っ張りが多いからなぁ。自分の実力を考えて、安全第一でお願いします。


4.睡眠不足怪我のもと

深夜バスなどで到着した日、夜中に車を飛ばしてゲレンデまで駆けつけた日、自分で考えているより体は睡眠不足で疲れています。睡眠不足になっていると、思うように体が動かないばかりでなく、判断力や反射能力が格段に下がっていることを覚えておいてください。ふだんなら転倒しないような斜面の荒れに足をとられたり、止まるつもりが止まりきれなかったり、よけられると思ったらぶつかってしまったり……、そんな経験をお持ちの人もいるはず。それは技術が落ちたのではなく、体が休養を要求しているのです。せっかく来たのだから、できるだけたくさん滑りたい、その気持ちは誰でにでもありますね。でも、いちばん大切なのは自分の体と相談することです。とくに子どもや高齢者と一緒に滑るときは、本人が大丈夫と言っても、はやめに引き上げるようにさせたいものです。
到着した日じゃないけど、前日、宴会になっちゃって飲みすぎ? 二日酔い? 今日はすべるのをやめておいたら?


5.止まるな休むなゲレンデの真ん中で

これは安全の問題と同時にマナーの問題でもありますね。道路の真ん中に座り込んでいたら、轢かれてしまいますよ! ゲレンデを滑っているのは、障害物があったらさっとよけられる上級者ばかりではありません。初心者の頃、そっちへ行きたくないと思うと必ず行ってしまった……という経験はありませんか? ゲレンデの真ん中で止まっていたら、どこから突っ込まれても致し方ないですよね。何人も座り込んでいたら……上級者だってあっちをよけたらこっちに突っ込む、などということがないとはいえません。よけたもの同士がぶつかってしまったりすることもあります。ちなみに、衝突事故は速度の小さいほうがダメージが大きいのをご存知ですか? 止まっててぶつけられたら、あなたのほうが大ケガになりやすいのですよ。


6.割り込みや無理な追い越しやめましょう

これも安全の問題と同時にマナーの問題です。人格疑われますよ! 狭い通路状の林間コースなどで初心者や初級者が必死の思いで滑っているすぐ脇を、上級者が猛スピードで追い越していく風景も見られます。そう、あなたが上手なのはわかりました。でも、追い越された人の気持ちは? 初級者や初心者にとっては、すぐ横を高速で通過されるだけでもかなり恐怖心があるはずです。あなたも滑り始めた頃、そんな思いをしたことがありませんか。すくんでしまって転倒するようなこともありますね。ぶつかってないんだから関係ない? 本当に人格疑われますよ! リフトの割り込み? 論外です!


7.安全締具も調整次第

上級者だから開放値は高くする? それは間違いです。開放値はその人の体重や足の大きさ、筋肉のパワーなどによって決まります。無理な力がかかったときに足を開放してくれなければ安全締具の意味はありませんね。では低くしておけば安全? それも間違いです。ちょっと力を入れただけで開放してしまうようだと、転倒の原因になります。自分にあった開放値に設定しておきましょう。そして、前後の開放値をきちんと合わせておくことも重要です。


8.服装ととのえ安全第一

ポカポカと暖かい陽射しがうれしいスキー日和。おやおや、ジャケットの前をはだけたまま裾をはためかせて滑っている人がいるようですね。だらしのない服装は、まず精神面で緊張感をなくします。スキーは危険と隣り合わせのスポーツだということをお忘れなく! いつもスポーツをしているのだという適度な緊張感を持って滑っていたいものです。同時にはだけた衣服は、木の枝に引っかかったり、隣や後ろを滑っているスキーヤーにあたってケガにつながる危険性を持っていることも覚えておきましょう。転倒した際に衣服が体の自由を奪うこともあります。そして、頭部保護のために帽子をかぶることをお勧め。転倒した際に頭部を強く打つこともありますが、帽子をかぶっていればかなり衝撃を緩和できます。また、帽子をかぶっていないと外れた板が飛んできて頭部にあたって裂傷を負うこともあります。
まさか手袋なしで滑ってるという人はいないでしょうが、春スキーになると暖かい日は半そでのTシャツという人はときどき見かけます。これも転倒したときに擦傷を負うもと。スキーは薄くても長袖、皮膚を保護した状態で楽しみましょう。


9.もう一回、そこがスキーのやめどころ

スキーは本当に楽しいスポーツです。そろそろ疲れてきたし、きょうはこれで引き上げよう……でも、最後にもう一回だけ……ありがちなパターンですね。とくに最終日にはよく耳にする言葉でもあります。ゲレンデには魔の時間があります。それがこのリフトの終わるちょっと前ごろの時間。一日楽しく滑って、自分で思っているより体は疲れていることがあります。疲れたな、と思ったら速やかに引き上げましょう。未練がましいのは嫌われますよ???


10.事故なら無理はしないこと

スキーに転倒はつきものです。あっ、ひねっちゃかな? でも大丈夫、大丈夫、まだ滑れるから。せっかく仲間と楽しい時間を過ごしているのに、自分だけ置いていかれるのは嫌だし。パトロールを呼ばなければならないほどのケガでもないから大丈夫なんて、無理をするとシーズンを棒に振るようなことになりかねませんよ。ブーツの中で足首が腫れ上がっていて脱げなくなってしまったとか、実は骨折してた! なんて事例もあるのですから。どこかを痛めたら、すぐにスキーは中止して、できればすぐに医師の診察を受けたいものです。
 



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